● 映画 ホワイト・ボーイ・リック 黒人ギャングの中、白人ひとり
◆ ホワイト・ボーイ・リック 予告編 動画
◆ 映画 ホワイト・ボーイ・リックのあらすじ
これは実話の映画化です。
1980年代のミシガン州・デトロイト。
一時の隆盛も過去の物で、すっかり落ちぶれてしまった街。
父親は銃の違法ディーラー。姉は麻薬中毒。
周りは黒人ばかりでギャングかその手した。
そんな環境で暮らしているリック。
父親の仕事を手伝いながらギャングたちとも交流がある。
そんなリックに目を付けたのがFBIなのだ。
なんと情報提供者になる様に脅されるのです。
さもなくば銃の違法売買で父親ともども逮捕する、
と言われ否応なく麻薬関係の潜入スパイとなる。
この時リックは14歳です。
FBI捜査員の甘言や地元デトロイト警察の刑事にそそのかされる。
リック自身がコカインの密売に大きく係わりだすのです。
やがて麻薬王にまで上り詰めます。
この時リックは16歳です。
でもこの頃からFBIがリックを裏切りだしたんですね。
クライマックスから結末までリックはどうなっていくのでしょうか・・・。
◆ 映画 ホワイト・ボーイ・リックのネタバレ感想
これは面白い映画でしたよ。
主人公の脇を固めている役者たちがいい演技を見せてくれてます。
アメリカ史上最年少のFBI情報提供者となった
リチャード・ウェルシュ・Jrの実話の映画です。
14歳でFBI情報提供者になり、16歳で麻薬王になる。
リック(リチャード・ウェルシュ・Jr)がFBIの
情報提供者になった経緯は本人の本意ではないんです。
父親の仕事(銃の違法売買)を手伝っていたんです。
そして周りはみな黒人でギャングであり、その手下なんです。
当然麻薬の密売なども見ているんです。
リックはその時点では麻薬には手を出していません。
密売人あるいは常用者として手を出していないんですが、
彼の姉は麻薬中毒です。その姉には黒人の彼氏がいるんです。
彼氏は小悪党でリックは姉に別れるように言っているが聞き入れません。
そのような状態の14歳のリックにFBIが潜入スパイとしての
情報提供者になるように言ってくるんです。
最初はリックは拒んでいたんです。
でも父親の仕事の手伝いで、父親自作のサイレンサー付きで、
横流し品のAK47ライフルを売っていたんです。
そしてその銃が殺人に使われたと、
FBI捜査員が被害者の写真を見せるんです。
後頭部に2発撃ちこまれているんです。
このままだと父親もリック自身も逮捕されてしまうんですね。
リックは本意ではないんですが、
FBIの情報提供者になってしまうんです。
それからリックの情報で黒人ギャング一味が逮捕されていくんです。
でもリックからのタレコミだと知ったギャング残党がリックを狙います。
リックの友達が一人やってきて家に入れます。
友達はリックに済まないと言いながらピストルでリックの腹を撃ち、
そのまま外へ出ていきます。
一発だけで、とどめを撃たれなかったのが幸いして、
緊急オペはしたが、リックは一命をとりとめます。
その後FBIはリックを撃った犯人を彼に問いますが、
分からないと言って名を言わなかったんです。
FBIの情報提供者として動いていたリックはFBIからの見返りは何もない、
今後もないと見て、彼は頭に来てしまったんです。
そこで本格的に麻薬の販売に手を出しギャング仲間を誘い込んだ。
大きくドラッグを扱い瞬く間に麻薬王になっていきました。
その時リックは16歳です。
この後もFBIは徹頭徹尾リックを利用だけし、
司法取引などは一切なく、情状酌量も口約束のみなんですね。
その口約束も反故にされてしまいます。
リックのような環境で育っていくとこの様な犯罪に
手を染めていかざるを得ないのでしょうか。
リックを演じているリッチー・メリットは
この作品が映画デビューなんですね。
しかも演技の経験も全くなく、これが初演技ということです。
これからどんな役者に育っていくのか、
どんな役をこなしていくのか気になりますね。
◆ 映画 ホワイト・ボーイ・リックの考察
1980年代のデトロイトでの物語です。
1900年代初頭にフォードがこの地で生まれ、
後にゼネラルモーターズとクライスラーが誕生。
ビッグ3と呼ばれる巨大企業がこの街を隆盛へと導きます。
だが1970年代頃から安価で安全、コストパフォーマンスに
優れた日本車の台頭によりこの街が斜陽に傾きます。
この映画の背景である1980年代は車産業は全て没落し、
街は空き家だらけで、それがまた新たな犯罪の温床となり、
治安悪化の一つの要因となっていました。
そんな時代にリックはこの街で存在していたんですね。
まともな仕事もなく、街には浮浪者が溢れ、
極端な治安悪化を招いていたんです。
お金を持っている白人は皆郊外へ出て行き、
残っているのはお金を持っていない黒人だけ。
そうなると道は決まってますよね。
ドラッグに活路を見出した黒人が、それを手に入れ、
販売してギャングになっていきます。
そんな環境で生まれ育ったリックが麻薬の密売に
手を染めるのは当然だったのでしょうか。
黒人のギャングやその手下どもと付き合っているうちに、
いつの間にかドラッグを売りさばくことに
罪悪感が無くなっているんです。
自分の姉が麻薬中毒者であるにもかかわらず。
そしてFBIに脅され、甘言をささやかれ術中に嵌っていったんですね。
結果彼は8㎏のコカイン所持の罪で17歳にして
仮釈放無しの終身刑を宣告されてしまいます。
ミシガン州ではドラッグの650グラム規制があります。
そのためギャングが劇中で言った言葉があるんです。
ミシガンでは殺人罪の方がましなんだ。
もし1グラムでも多く持っていたら、一生ムショ暮らしになる。
FBIのために働いたリックをFBIは
裏切りに等しい扱いで、見放したんです。
2017年7月14日リックは約30年を経て、仮釈放を認められた。
以下リック本人の言葉です。
刑務官も同情してくれると思う。
仮釈放が認められたら、どれほど楽になる事か。
ずっと重荷になっていたんだ。
刑務所での30回目にして最高の誕生日だ。
喜びで我を忘れるほどだよ。
まるで10年も若返ったような気分だ。
身体が軽くなった。
仮釈放が決まったと聞いて、
涙が出た、
泣いたよ。
出所したことを祖父母に報告に行きたい。
墓参りをしたい。
家族さえいればいい・・・。
リックはこの時47歳です。
この記事の関連する言葉
AK-47
デトロイト
ミシガン州の歴史
ミシガン州
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◆ 私の評価
◆ 作品情報
□ タイトル
・ホワイト・ボーイ・リック
□ ジャンル
・サスペンス
□ 製作年
・2018年
□ 制作国
・アメリカ
□ 収録時間
・110分
□ 音声仕様
・英 / 日
□ 監督
・ヤン・ドマンジュ
□ キャスト
リチャード・ウェルシュ・Sr:マシュー・マコノヒー
リチャード・ウェルシュ・Jr:リッチー・メリット
ドーン・ウェルシュ:ベル・パウリー
アレックス・スナイダー捜査官:ジェニファー・ジェイソン・リー
メル・ジャクソン:ブライアン・タイリー・ヘンリー
バード捜査官:ロリー・コクレーン
ラデル・"ブー"・カリー:RJ・サイラー
ジョニー・"リマン"・カリー:ジョナサン・メジャース
アート・デリック:エディ・マーサン
キャシー・ヴォルサン=カリー:テイラー・ペイジ
ローマン・"レイ"・ウェルシュ:ブルース・ダーン
ヴェラ・ウェルシュ:パイパー・ローリー